最後の最期まで前向きに
「浜までは海女も蓑(みの)着る時雨(しぐれ)かな」
これを詠んだのは江戸時代の俳人、滝瓢水です。
これから海に潜る海女が雨を避けるために蓑を着て浜に向かう。
どうせ海に入れば濡れてしまうのに、なぜ蓑を着る必要があるのでしょうか。
「浜までは濡れずに行きたい」というのが海女の気持ちなのです。
つまり、人間は少しでも自分を愛おしみ、最後まで努力を重ねていかなければならないのです。
この句の「浜」を「死」と捉えれば一層味わいが深まります。
「どうせ仕事を辞めたのだから」、「どうせ老い先短いのだから」と、投げやりになるのが一番良くありません。
死ぬ時まではとにかく蓑を着る。
日が照り付ければ日傘を差す。
そうして最後の最期まで前向きに、少しでも美しく立派に生きる努力を重ねていくべきではないでしょうか。